2005年07月15日

In Defence of Negative Value

ハイエクやミーゼスは、リバタリアンから言わせれば当然リバタリアンであるが、

そのようなカテゴライズをしないで見れば、むしろハイエクとミーゼスの間の違い

は大きい。



#ハイエクは自分をOld Whigと呼びたがっていたそうだし、ミーゼスは

オーストリアンもしくはPraxeologyである。



しかし、重要なのはその違いよりも、むしろその近さだ。



同様に、老子もリバタリアンから言わせれば、世界最古のリバタリアンであり、

リバタリアンのピテカントロプスに相当するが、当然、老子の時代にリバタリアン

などというバタ臭い名前があったわけではない。

#私はリバタリアンという表記よりも、リベルタリアンという越後先生の表記の方

がよいような気がしている。しかし当面リバタリアンを使うことしよう。



私の考えではリバタリアニズム的なるものの特徴は、消極的価値の擁護にある。

左派リベラルのようなPositiveな価値を標榜する主義思想とはそこが根本的に違う。

またそこが、リバタリアニズムの分かりにくさの原因の一つでもある。



老子の思想は、道教として中国の民間信仰の最もポピュラーなものであるが、

無為自然=Laissez faireや道=Tao=Natural law、Natural emerging orderという

思想が民間に潜在的に根付いていることが中国という本来が個人主義的な商人国家

の強さかもしれない。

#中国はあまりに広く一枚岩ではないが、私の中国のイメージは中国人=商人だ。



いわゆる保守主義にも消極的価値の擁護がその根底にある。

ただ、その消極的価値の捉え方、理論武装が、いわゆる保守とリバタリアンでは違う。

いわゆる保守派の擁護する価値をご先祖さまからの伝統的価値と言ってしまえば、

それはPositiveな価値になってしまう。

ハイエクなどは、そのような俗化された保守主義へ新しい意味のある言葉なり

ビジョンを与えようとしていたようにも思える。



リバタリアンが保守的だったり、保守主義者がリバタリアン的であったりす

るのは、それらが擁護する価値の消極性という共通性のためだろう。

保守主義もリバタリアニズムも、Positiveな価値を謳う左派思想に対して、その

消極的価値の擁護という立場の分かりにくさによって苦境に立たされてきた経緯

がある。



バークの時代より、その時代のインテリ層は常に左派思想になびき、保守思想に

なびく人間は頭の硬い偏屈者くらいにしか思われていなかったと思われる。

だが、現代のリバタリアンなりオーストリアンの主張は、批判理論として明確に理論化

されている。



法思想に関して言えば、大陸法的なPositive rightsを完全に否定する。

あるのはNegative rightsだけであり、Positiveな権利などもともと存在

しないし、あってはならないとするわけだ。

それら権利は、政府を契機にしなければ成立しない権利であり、無用で有害な

権利だというわけである。それは個人の自由にとって有害だと。

それに対して、コモンローは元来がNegative rightsだから、リバタリアンーオーストリアンは

コモンローを擁護するのである。



例えばホップのようなオーストリアンーリバタリアンが、Posnerのような「法と経済学」を

批判するのはこの1点のロジックに集約している。

ポズネリアンの「法と経済学」は、はじめからPositive rightsを巡る議論で

あって、出発の前提がそもそも間違っているとするわけだ。

むしろNegative rightsから出発すればホップのような議論になるはずだという主張

である。→「鉄道の火花と周辺農家の問題」など



ただ私は、産業政策立法などは、単純にCost−Benefitの議論で経済学と一緒に

考察すればよいと思う。

そうなったとき現在の産業政策立法の殆どはCostBenefit分析においても破綻する

はずである。



結局、法=制定法は人間が恣意的に作るものであり、その建前だけは立派だが現実には

むしろ逆効果になっている。

経済の設計主義も、法の設計主義もどっちも駄目だと喝破したのがハイエクでありミーゼス

であった。



そしてマーケットメカニズムを無視した法律を立派な建前だけで作ってきたことの

ツケが巨大に膨らんでいるのが今の日本の状況だろう。



#尤も日本だけではなく、アメリカも産業政策立法において同様だが、それはまさに

USAのリバタリアンが批判してやまないところである。




posted by libertarian at 10:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Libertarianism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする