Riskという言葉は、最近やたらと使われる言葉だが、これほど曖昧で、意味のいい加減な言葉もない。普通は、損する危険性とか、損する確率という意味で捉えられているのであろう。
つまり、これは確率的な概念だ。しかし、通常、Riskの反対語となるReturnなるものには確率概念が含まれているようには思えない。もし、リターンとリスクを一緒に考えるのであれば、むしろRiskとはコストのことだと定義した方がよさそうだ。測定の不可能な確率を持ち出すまでもない。
実際、speculationの世界においてリスクとはコストに他ならない。コストを払わずにリターンを得ることができないのは、投機に限らず製造業でもサービス業でも全て同様だ。
製造業のコストは、製品が売れなければ無駄になるという意味で上限が決まっている。だからこれは固定リスクだ。投機においてもこれはロスカットを指定することで上限を決められるので無限リスクというのは少ない。一般の人が考えているのと異なり、speculationとは博打ではなく、製造業と同じくコストを払ってリターンを得る行為に他ならないのである。
例えば将棋においてリスクとは自分の王が詰められる危険性のことだ。問題は自分の王が詰められるよりも1手でも早く相手の王を詰ますことである。リスクと攻撃は表裏一体といえるし、だからこそリスクを計算できるのである。逆にいえば攻撃のない防御一方というのはない。攻撃がリスクテイクとすれば、防御は相手の隙=リスクを攻撃することだ。
だが通常言われるセキュリティは防御一方なのだ。そこに違和感がある。だから、セキュリティを考えるのであれば、要塞を作るだけでなく攻撃、反撃方法を同時に考えていなければならないはずだ。しかし、一般に法律上、反撃が禁じられているので、要塞を作ることしかできない。しかし反撃のない防御=securityなどありえないのである。

