2016年12月25日

アメリカにおけるリバタリアン3分類

今度のトランプ政権がリバタリアン政権だという記事を読んだ。
Ayn Rand-acolyte Donald Trump stacks his cabinet with fellow objectivists
https://www.washingtonpost.com/news/powerpost/paloma/daily-202/2016/12/13/daily-202-ayn-rand-acolyte-donald-trump-stacks-his-cabinet-with-fellow-objectivists/584f5cdfe9b69b36fcfeaf3b/?utm_term=.e9a0901e95a1

ところで、アメリカにおけるリバタリアンは大きく次の3分類ができると思う。

1。アインランド愛好者のいわゆるリバタリアン

アインランドのファンをランディアンとも呼ぶが、前のFRB議長のグリーンスパンをはじめ、ランディアンであることを公言する人は意外と多い。今度のトランプ政権の閣僚も、レックス ティラーソン、アンディ パズダー、マイク・ポンペオは、ランディアンであることを公言しているらしい。
ランド自身は自分をリバタリアンではないと言っていたが、アインランドはアメリカにおけるリバタリアニズムの一つの大きな柱であることは間違いない。
ランドについて知る上では、当サイトの翻訳記事がベストであろう。
#当サイトの右側の欄に以下の記事のリンクがあるので参照されたし。
1.アインランドのThe Only Path to Tomorrow
2.The Only Path to Tomorrow(pdf)
3.リバタリアンFAQ
4.アインランドインタビュー(pdf)
5.アインランドのウェストポイント講演:Philosophy who needs it?(pdf)

2.ミーゼス一派のリバタリアン

ミーゼス一派は、Ludwig von Misesをグルとする、オーストリア学派の流れも引いているリバタリアン達であり、政治家のロンポールやその息子のランドポールも同様である。ロスバードのようなミーゼス思想の唱道者もいる。
ミーゼス一派は、ミーゼス研究所を中心に活動しているが、政治的にはティーパーティー運動との結びつきも強く、おそらく政治的には最もアクティブなリバタリアン達である。
ミーゼスの教義(Praxeology)がベースにあり、金本位制を強く唱えているのもこのグループである。

3.ミルトンフリードマンのシカゴ経済学派

アカデミックにはミルトンフリードマンの経済学派は、極めて大きく、シカゴスクールを形成している。
フリードマンの著書とTV番組「選択の自由」は、レーガン政権発足の頃に発表され、当時の自由主義運動の大きな礎を作った。
ミルトンフリードマンは、アメリカにおいて最も良い意味での影響力をもったリバタリアンだと私は思う。
なお、フリードマンは自らをリバタリアンと称している。
ミルトンフリードマンの経済理論がなかったら、リバタリアニズムは具体性を欠く実体のないものだったろう。
ミーゼス一派は、このフリードマンの理論をミーゼスの教義と違うという理由で認めようとしない人間が多い。当然にフリードマンは金本位制など主張していないからだ。

基本的にフリードマンはアカデミックな学者だが、アカデミックなレベルでいうと、ハイエクや、法哲学のロバート ノージックであるとかリバタリアンとされる有名な学者はいろいろいる。
ここらへんになると、知っている人も少なく、ましてちゃんと理解できている人は滅多にいないので、あまり政治的な勢力とは呼べないかもしれない。
だから、アメリカのリバタリアンは上の3分類くらいを想定しておけばよいと思う。
ほとんどの日本人はこの3つとも聞いたこともないだろう。

20世紀までは、経済学といえば日本ではまずマルクス主義経済学が主流となり、経済学とイデオロギー的な教条が結びつくというどうしようもないものであった。
経済学も、この100年位で徐々にまともな統計データが蓄積しだし、独立した科学に変わろうとしているのであろうから、経済学をイデオロギーと結びつけるのはそろそろやめた方がよいかもしれない。

posted by libertarian at 21:00| 東京 ☀| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ピーター ナヴァロ のCrouching Tiger (身をかがめる虎)

ピーターナヴァロが、トランプ政権の国家通商会議のトップに選ばれた。
ピーターナヴァロの番組、Crouching Tiger (身をかがめる虎)のシリーズがYoutubeで公開されている。
https://youtu.be/BBe2wpZqN0s

ミアシャイマーなども、この番組に出てくるが、この番組はチャイナに対する警鐘をアメリカ国内に鳴らすために作られたものだ。もちろん、選挙前に作られたものである。
チャイナの平和的台頭はありえず、チャイナの軍事的拡張と侵略の意図を明らかにする番組内容だ。

このような人物がトランプ政権の閣僚になるということは極めて望ましいことである。

posted by libertarian at 20:24| 東京 ☀| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月23日

知将 マッドドッグ マティス

ジム マティスがアメリカの国防長官になるが、フーバー研究所のマティスへのロングインタビューがyoutubeにある。現在、マティスはフーバー研究所の研究員でもある。フーバー研究所は、スタンフォード大学の中の保守系シンクタンクである。ミルトンフリードマンなどもここの研究員を兼任していた。
マティスは、物静かな話し方をする、マルクスアウレリウスを尊敬する学者肌の将軍である。
マッドドッグというのは海兵隊における尊称にすぎないのは言うまでもない。

なお、youtubeの自動字幕生成機能をオンにして聞くと分かりやすい。
Uncommon Knowledge With General James 'Mad Dog' Mattis
https://youtu.be/pG4xEEXI78M
posted by libertarian at 11:46| 東京 🌁| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

トランプ減税は実現するか

トランプの国内政策の目玉の一つは大規模な税制改革である。
現在のアメリカの複雑すぎる税制を0ベースで見直して簡素化し、大胆な減税を行い、海外に逃げ出していた資金を国内に呼び戻そうというアイデアだ。
国内の税が高すぎると、タックスヘイブンのようなところに資金が行くのは、企業としては当然の行動だ。問題は国内の税制の方なのである。

減税は財政政策に等しく、かつ、最も効果のある財政政策である。公共事業は、一旦税金として政府が金を集め、それを役人が裁量で適当にばらまくというものだから、ほとんどは死に金となり実質的な経済浮揚効果がほとんどない。公共事業の乗数効果はほとんどない。
対して減税は各家庭の可処分所得の増大になるので、各人が自分のお金を思う通りに消費するから、最も効果的で道理にかなっているわけだ。

ただし、変動相場制の下では金融政策と財政政策のバランスが問題となり、財政政策を吹かした場合、同時に金融緩和政策も行わないと通貨高が起こり、財政政策の効果をキャンセルしてしまうというのがいわゆるマンデルフレミングの法則だ。
リーマンショック以来、アメリカは金融政策を吹かしてきたので、そろそろテーパリングしようかという時期であり、今後FRBがどのように金融政策の舵取りをするかが注目だ。
金融政策のテーパリングと財政政策が同時に行われれば、当然にドル高円安の方向になる。
ドル高が行き過ぎるようになると、輸出が減りと、また不都合な状況になる。
その点、今のイエレン体制のFRB人事もトランプ政権がどうするかは注目である。
#オバマは最悪であったが、バーナンキのおかげでオバマ政権は救われたようなものだった。

もっとも税制改革といっても、連邦政府の税制部分だけで、各州の税制は連邦政府が直接タッチするわけではないだろう。
税の簡素化と透明化は非常に重要だ。日本も税の簡素化と透明化をすべきだ。税制の複雑さが日本の財務省の強力な裁量権限の原因となっていることは自明である。
posted by libertarian at 20:54| 東京 ☀| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

トランプはリアリズムの外交政策をとる

ジョン ミアシャイマー(シカゴ大学教授)のトランプへの外交政策提言がNational Interestに載っている。

Donald Trump Should Embrace a Realist Foreign Policy
http://nationalinterest.org/feature/donald-trump-should-embrace-realist-foreign-policy-18502

内容はいままでのミアシャイマーの論文の要約のようなものなので、私がいままで紹介していた内容と変わらない。
ただ、ワシントンには外交政策に関する有象無象(blob)がおり、トランプを手なずけて従来のリベラルヘゲモニーを維持させようとする人間がわんさかと集まってくる。トランプが連中をキャンペーンの時のようにはねつけるだろうことを期待するという内容だ。

この論文は11月27日発表だが、その後、トランプは台湾と電話会談をしたり、マティスを国防長官に任命したりと着実にリアリズムへの舵を切っているように見える。
日本のしょうもない評論家連中はミアシャイマーのようなIRの大家を全く知らない。
アメリカ在住の伊藤貫氏がミアシャイマーのことを頻繁に言及するくらいだが、アメリカで軍事やIRにかかわる人間がミアシャイマーの発言をチェックしていないなんてことはまずない。
国際関係を論じるのに、アメリカ国内のこういったまともな議論を知らないのでは話にならない。当然に知将マティスもトランプもミアシャイマーの発言内容は知っているのだ。

今までは、民主党だけでなく共和党においてもパンダハガーが主流だったが、トランプ政権では対チャイナ強硬派のドラゴンスレイヤー達で固めている。アメリカの対チャイナ方針が180度変わるだろう。
今後、トランプ政権がミアシャイマーの提言の方向で動くだろうことは想像に難くない。

posted by libertarian at 20:16| 東京 ☀| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月05日

米中戦争と台湾

トランプが台湾の総統と電話会議をしたとニュースになっているが、台湾にとってトランプは希望の光であろう。
台湾がチャイナに呑み込まれるのは不可避であるというミアシャイマーの悲観的予測は、トランプの登場で覆る可能性が出てきた。
台湾問題は、日本にとっても重大事であり、台湾は第1列島線に位置し、台湾が支那に併合されれば次は第1列島線上の沖縄を取るという支那のシナリオがあった。
実際、台湾を取られれば軍事的に沖縄の防衛は無理になる。あとはなし崩し的に第2列島線までを支那が支配する可能性が高くなる。
支那の公式の発表から、台湾の軍事的併合は2021年までに行う予定であった。
もし、ヒラリーが大統領になっていたら、まずそうなっていただろう。

「米中戦争 そのとき日本は」 (講談社現代新書) 渡部 悦和 (著)を読んだ。この本は、元自衛隊の幹部の書いたものだが、現代の軍事状況を最新技術と戦略の両面から分かりやすく説明したものとして出色の出来だ。筆者は東大工学部をでてから自衛隊に入隊した人物らしい。この中でアメリカのランド研究所による対中国戦のシミュレーションを詳しく紹介している。

米中戦争 そのとき日本は (講談社現代新書) -
米中戦争 そのとき日本は (講談社現代新書) -

このランド研究所の論文は、次から手に入る。最近、発表されたばかりの論文である。
War with China - Thinking Through the Unthinkable
http://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1140.html

詳細なシミュレーションだが、結論的には、2017年時点を想定すると、アメリカとチャイナの台湾紛争では、アメリカがまだ少し優位を保っているらしい。南沙諸島紛争では、アメリカがまだ大きく優勢なようだ。

人民解放軍は、中国共産党の軍隊であり国軍ではない。その基本戦略である超限戦とは、「文字通り限界を超えた戦争であり、あらゆる制約や境界、作戦空間、軍事と非軍事、正規と非正規、国際法、倫理など)を超越し、あらゆる手段を駆使する、まさに「制約のない戦争」である。
つまり、いかなる残虐行為をも是とする完全なる無法のならず者軍隊が人民解放軍である。チャイナとの戦争になれば、凄惨な戦争になるだろう。
アメリカにとっても、人民解放軍はかつてない強敵となる。

この本をみるとチャイナの猛追ぶりがよくわかる。10年前、いや5年前でも日本ではチャイナなど恐れるに足らずという論調があったが、それはやはり大きな間違いであった。
人民解放軍の軍事力は、サイバー戦、宇宙戦においては、アメリカすらも後れを取っている可能性がある。チャイナはまだ通常軍事力ではアメリカに劣るため、サイバー戦、宇宙戦(衛星破壊)の技術で対抗してきているわけだ。

習近平は大規模な軍政改革を試みているが、これは陸軍優位だった従来の軍の体制をミサイル部隊の重視などの現代的な構成に転換しようとするものらしい。今の戦場は、陸海空の3つではなく、陸海空、サイバー、宇宙の5つの空間にある。

日本の現状は絶望的にも思える。民進党も共産党同様に、チャイナの超限戦の一部隊と考えた方がよい。
日本のマスゴミも同様だ。また、それは自民党の中にもいる。
今の自衛隊は軍隊ではなく警察権力の延長だから、両手両足を縛られた状態で凶悪きわまりないチャイナの人民解放軍と戦わなければならない。それは不可能である。
日本も9条を早急に改正なり破棄するなりして、国防軍を正式に作り、今の陸軍を戦略ミサイル部隊やサイバー部隊に再編するべきである。もはや時間的猶予はない。
チャイナによる侵略戦争はとっくに始まっているのだ。

posted by libertarian at 21:31| 東京 ☀| China problem | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする