2017年02月22日

東芝問題

今回の東芝問題だが、ざっと調べたかぎりでは、東芝は倒産する可能性が高いようだ。
東芝の中で原子力事業に関わっている人間は、ごくごく少数であり、ほとんどの社員にとっては今回の話は寝耳に水の話だろう。だが、東芝グループとしてみれば、海外のウェスティンぐハウス(WH)との原子力事業を経営の2本柱の1つに据えていた。結局、海外のWH経由の投資でほとんど詐欺にあい7000億円以上ともいわれる巨額損失をだし債務超過にいきなり陥ってしまったわけだ。東芝には不正会計という問題もあるが、そんな海外の投資案件で詐欺にあい、いきなりの債務超過という事態に陥れば、経営者としてもパニックだろう。不正会計そのものは犯罪性があるが、不正会計をしなければしないで、いきなりの債務超過で伝統ある巨大な東芝グループの倒産ということになるのだから、粉飾会計をして泥をかぶってでも、どうにかして時間稼ぎをしなければと経営者は思ったのだろう。
実際、日本の東芝の幹部も今回のWHとの件はなにがどうなっているのかさっぱり分からないらしい。
海のむこうのWHとS&Wとかいう会社の投資問題が、日本の東芝に降りかかってきたというところだろう。

東芝でも原発事業はそれまでも決して利益の大きい部門ではなかったろうに、なぜそんなものを2本柱の1つにしたのだろうか。これが第一の経営判断ミスだったと思う。ただ売り上げ規模では発電設備事業は全体の売り上げの1/3くらいはあったようだ。
WHを買収したのがそもそも経営的に冒険的な悪手だったのだろう。
2006年ごろにWH買収を決断した西田という社長の投資ミスがすべての元凶だったのではないのか。
東芝の日本国内のイメージは重電の会社ではなく、家電や半導体や医療機器というハイテク会社であった。実際、東芝の社員はそういう風に思っていただろう。原発投資の失敗で、優良な部門から切り売りし、医療に続き半導体も手放そうとしている。

S&Wの件は詐欺に騙された可能性も高いので、あまり無責任に経営者の責任だと責めるのもどうかと思うが、あと数か月で東芝の命運が決まることは確実である。


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2017年02月19日

米中もし戦わば

ピーターナヴァロの「米中もし戦わば」を遅ればせながら読んだ。(原題 Crouching Tiger)
トランプ大統領の発言内容は、かなりの部分、この本の内容とオーバーラップする。
いままでチャイナ問題関連本としては、日本のチャイナウォッチャーの本しかなくアメリカの人間がどう考えているのか不明であった。しかし、ナヴァロのような視点がアメリカのチャイナウォッチャーでも共通していることがうれしかった。
もっとも本の内容としては、従来の本と比べてこの本は出色の内容で、非常にわかりやすくかつ具体的、論理的にチャイナ問題を論じている。チャイナ問題に関心のある人間には必読の書である。

最近、自衛隊関係の元幹部の書いた本としては、渡部氏の「米中戦争」というのもあり、あれもなかなか内容はよかった。
#前に書いた紹介文 →http://libertarian.seesaa.net/article/444628619.html

しかし、これは例外的な本で、今までの自衛隊関係者の書くものは、チャイナなぞ取るに足らず、いかに自衛隊が優れているかという自画自賛的なものが多かった。私はこれを非常に懐疑的にみていたが、彼ら元自衛隊幹部は、所詮、戦争のない時代にぬるま湯で出世しただけの小役人のような連中であり、敵を軽んじて自衛隊を自画自賛することが一種の処世術で出世の方便だったのだ。

この本を読むと、現実のチャイナの軍事力がどれほどの脅威になっているかがひしひしと分かる。
チャイナはアメリカの優位性に対する対抗戦略、反干渉戦略を長期ビジョンで推し進めてきており、これにアメリカが対抗するには従来の戦術を大きく転換しなければならない状況にある。
具体的にアメリカの軍事的優位性の3本柱とは1.空母戦闘群 2.第1第2列島線上の大規模基地 3.高度なC4ISRシステムにある。
チャイナは、空母に対しては1600Km彼方から空母を撃沈できる対艦弾道ミサイルを完成させており、マッハ10で飛ぶ対艦巡航ミサイルも完成させてしまった。これによってアメリカの軍事パワーの象徴的な存在ともいえるる空母戦闘群、イージスシステムは無防備な標的となり機能しない。1000億ドルの空母を100万ドルのミサイルが1発でも当たればいいわけで、このような非対称兵器の攻撃はアメリカにコストリスクを跳ね上げさせる。チャイナのこれらミサイルはゲームチェンジャーといえるものである。
2の日本やグアムにある大規模基地などはミサイル攻撃に対し全く無防備で地上に露出している。
3のC4ISRシステムという情報システムは衛星に依存しているが、チャイナはキラー衛星を完成させてしまった。現代の戦争における戦略的高地とはまさに宇宙にあり、チャイナは制宙権を確保することを主眼に宇宙開発を進めてきた。一方のアメリカはキラー衛星の技術を持たないし、宇宙開発はほとんど中止したような状況だ。

またアメリカはいままでロシアとの軍縮協定を繰り返す間に、保有ミサイルの数も種類も激減しており、一方のチャイナはそれを尻目にありとあらゆる核、ミサイルを開発し、数、種類ですでにアメリカを圧倒している。

このようにチャイナはアメリカの優位性を覆す戦略と技術を作り上げてしまっている。
またチャイナの基本戦略は、接近阻止、領域拒否である。機雷などアメリカの空母戦闘群を近づけなくさせるための技術と戦略を基本としている。そして、これらは費用の点で非対称的である。
さらに、チャイナの本土には5000Kmに及ぶと推定される地下の万里の長城があり、この地下トンネルをトラックや鉄道輸送が可能となっており、即座にミサイルを移動させることができる。
海南島には隠れた大規模な潜水艦基地がある。
アメリカは日本やグアムに基地を有するとはいえ、1万キロの距離の過酷さがあり、ホームで戦うチャイナに対しては厳しいものがある。
とはいえ、日本、韓国、台湾といった第1列島線、第2列島線こそがアメリカ本土防衛の最前線なのである。ここを死守してチャイナを封じ込めなければアメリカの軍事的敗北に等しい。

結論として、今の状態で、もし米中が戦えばアメリカに勝ち目はないということになろう。
では、アメリカはどうするべきなのか?それはこの本を読むのがいいが、トランプ政権ではこのナヴァロのビジョンに近い形で対中戦略が新たに再構築されることになるだろう。
posted by libertarian at 20:23| 東京 ☀| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月07日

レーガンとトランプ

レーガン大統領が何をなした大統領で、なぜレーガンが偉大な大統領と言われているのかを知っている人は日本にはほとんどいないだろう。レーガンが大統領になった当時のことを覚えている自分としては、当時のマスコミの論調は極右のとんでもない大統領というものだったから、そこらへんもトランプとよく似ている。日本の左翼大新聞はどこもそんな調子であったから、私もレーガンはとんでもない奴なのかと当時は漠然と思っていた。w

レーガンが偉かった最大の理由は「悪の帝国」ソ連を大統領2期の間に崩壊させるという揺るぎない決然とした意志を持ち、それを実行に移したという点にある。レーガンの信念はアメリカはソ連との戦いに勝利しなければならず、核戦争での勝利を目指さなければならないというものであった。それがスターウォーズといわれたSDIのビジョンであった。
世界中の反共産主義勢力を支持し、かつ援助を与えた。ポーランドの連帯を援助し、共産主義化したグレナダ侵攻を実行した。ソ連品の禁輸を断行し経済的にも揺さぶりを掛かけた。それまでのアメリカの対ソ連政策は、キッシンジャーをはじめとしてソ連の拡大を防ぐことは不可能と考え、ソ連との共存を唱えていた。それを一変させたのがレーガンであった。
実際、それまでのソ連の共産主義は破竹の勢いで世界中に広がっていた。スターリンをアンクルジョーと呼ぶほどに大好きだったF.D.Rooseveltの大失政により東ヨーロッパ、チャイナが共産化し、ジョンソンの頃には南イエメンとコンゴ共和国が共産化し、ニクソンの頃にベナンが共産化し、フォードの時代にはベトナム、カンボジア、ラオス、ギニアピサウ、エチオピア、アンゴラ、モザンピークが共産化した。カーターの時代には中米のニカラグア、セイシェル、グレナダが共産化した。
この流れを変えたのがレーガンだった。

レーガンにとってアメリカ外交の最終目的は戦争の抑止のみならず自由の拡大にあった。レーガンが自らの愛読書の一つとして挙げていたのが、フレデリック・バスティアである。バスティアの「法」は当サイトに私の翻訳があるので一読をお勧めする。
http://libertarian.up.seesaa.net/rand/THE_LAW.pdf

トランプがレーガンをリスペクトしているのは間違いなく、おそらくトランプの頭にあるのはチャイナ共産党の壊滅ではないか。ナヴァロを閣僚にするということは、ナヴァロのビジョンに共感しているとみるのが自然であろう。つまりチャイナ共産党を潰さなければならないということである。

ミアシャイマーによればレーガンの軍事外交戦略はオフショアバランシング戦略であり、ミアシャイマーはずっとこのレーガン時代の軍事外交戦略へアメリカが回帰することを主張している。実際、アメリカがオフショアバランサーだったのはレーガンの頃だけだったといえるだろう。
トランプ政権でオフショアバランシング戦略へ大転換する可能性は大いにあるだろう。そして、そこからチャイナ共産党を崩壊まですれば、トランプはレーガンに並ぶかレーガンを超える大統領になる。
posted by libertarian at 01:58| 東京 ☀| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする