2008年08月02日

Much ado about J-Sox

J-Soxと呼ばれている日本の金融商品取引法24条の4の4は、上場企業の内部統制体制構築の義務を定めたものと考えられているが、実は違う。
この点に私も漠然と疑問を持っていたのだが、本法律は内部統制体制構築義務を謳っていないというのはほぼ決まった解釈と考えて良いだろう。実際、そのようなことは一切書かれていないからだ。

このことの意味するものは大きい。要するに内部統制報告書の提出義務はあるが、内部統制報告書に”内部統制体制の構築はお金がかかるので特にしませんでした”と書いておけば法律上は全く問題がないということだからだ。

アメリカの場合は、Sox法制定以前に監査法人側が訴訟対策としてCosoフレームワークのような詳細なものを作っていて、それを実際に使っていた。そしてSox法制定によってそれがデファクトスタンダードのようになった。
だが日本の場合は、内部統制報告書提出義務だけを定め、内部統制体制構築の義務を定義しなかった。このことは正解だったが、金融庁のプレゼンテーションが恐ろしくまずかったために、これを新たな強行規定が生まれたと誤認し、内部統制体制構築狂詩曲状態が生まれたわけだ。


監査というのは一般に民間の基準がベースで、法律で詳細を定めているわけではないらしい。その点に混乱原因の一因があるのだろう。
金融商品取引法24条の4の4では内部統制体制構築の義務を謳っていないにも関わらず、実施基準ではかなり具体的なことが書かれている。つまり法律上は強行規定ではないのだが、法令となる実施基準で、具体的な内部統制体制構築の方法をあれこれと書いたために、やはり強行規定だと誤認されたのであろう。
これは、法律屋と監査屋の法認識のずれがあることで生まれた混乱だ。
八田進二氏と木村剛氏の対談本をざっと読んだ限り、八田氏が法律に疎いことが伺われた。
もしかすると八田氏は強行規定の意味すらよくわかっていないのではないだろうか?
法律で強行規定ができれば、その要件を分析し、対応するのが筋だが、内部統制体制構築の義務が強行規定でない以上、なにもやらないというオプションをまじめに考える価値が生まれる。
だから、金融商品取引法24条の4の4が内部統制体制構築の強行規定だと誤認されたことによる、この混乱の原因は金融庁と監査法人=公認会計士の双方にある。


アメリカにおいても、Sox対応は株主との間で経営がリスクシェアするという対応も生まれている。つまりSoxの内部統制体制構築をしないことを株主総会で決めるのだ。これによって、株主とリスクシェアし、無駄なコストを省くわけだ。

結局儲かったのはITゼネコンだけで、それ以外は皆損をしたのである。


 

posted by libertarian at 19:53| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | Law | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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