2008年08月17日

The merchant of Venice

”古代社会では債務不履行に対するペナルティーは過酷なものであった。
古代ローマでは、ごく少額を返済しそこねるだけで、債務者は全財産を没収され、競売にかけれられかねなかった。極端な場合、債務者は借金を払い終えるまで牢屋に入れられた。
西欧では一九世紀まで見られた債務者監獄の制度だ。
つまり債務不履行のペナルティーは単なる法的な解決策ではなく、まさしく懲罰と呼ぶにふさわしいものだった。

だが、債務不履行の罰が奴隷身分への転落だった古代ギリシャに比べれば、それでも大幅な改善だったのである。
イギリスで債務者監獄が廃止され有限責任会社の制度が発明されるのは、ローマが滅亡してから1500年ほど先のことだが、それによって資本市場のありようが改良され、世界経済の爆発的成長に点火する一助となったのである。”

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以上は、「豊かさの誕生」からの抜粋だが、このように債務不履行を窃盗と同じと見なし、債権者側に圧倒的な権利を与えることを債権本位主義という。
これが近代になると非人道的なものとして否定され債務者監獄が廃止され、債務本位主義に転換していったわけだ。
これはきわめて大きな制度上、法律上の進歩だ。欧米先進国ではどこでもこの債務本位主義の法体系になっている。

だが、驚くべきことに日本は未だに古代ローマと同じ債権本位を民法上とっているのである。
日本の過酷な取り立てはなにもサラ金に限ったことではなく、この民法上の債権本位の原則からきているのだ。それによって債務奴隷を古代ローマと同様に生み出してきた。
今回のサブプライム問題でも家のローンを返せなくなった場合、あちらの人間は家をあけ渡すだけで済んでいるが、日本だとそれだけでは済まない。

だから、サラ金問題の本質は、金利そのものにあるのではなく、古代ローマ並みの野蛮な債権本位主義をとる日本の民法体系にあるといえる。
サラ金などの過酷な取り立てに対する対策としては、金利を規制するのではなく、民法を債務本位主義に抜本改正することが本筋なのだ。
また債務本位にすると同時に、連帯保証人制度などの無限責任を負わせる制度も廃止すべきだ。


”ベニスの商人”の話も日本では、本当はシャイロックが正しいなどと馬鹿な解説がされることがよくあるが、この話は時代遅れで野蛮な債権本位主義を批判しているものなのである。

posted by libertarian at 00:48| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | Law | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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