2005年03月14日

Incentives of Personal Information Protection Law

「人々は必ず何がしかのインセンティブに反応する」という仮説は、経済学上の大前提である。インセンティブに反応するということが、人間の合理的行動の意味である。

そして、そのインセンティブが何であるかは自明ではなく、洞察によって見えてくるものだ。

アメリカでは60年代、ラルフネーダーの主張に世論が盛り上がり、車の安全対策上の規制法が制定され、自動車への様々な安全装置の装着が義務付けられた。(シートベルト、安全フロントガラスなど)



このとき、経済学者は、むしろ事故率が増加することを予想したが、現実にそのようになった。車の安全性が高まることで、運転を注意しないインセンティブが生まれるからだ。スピードをさらに上げるスリルなり目的地に早く着くこともインセンティブだ。



結果的に、事故件数は大幅に上昇したが、安全装置によってドライバーの死亡率は確かに低下し、総死亡数としては、法制定の前後でほとんど変化しなかった。しかし、これは車の乗員に限っての話で、車と歩行者との間の事故では、歩行者側の死亡数が上昇した。これも当然のことである。



個人情報保護法を考えると、これは予想するまでもないことだが、法の施行によって個人情報の漏洩事件は激増した。なぜなら、今まで問題なかったことが、犯罪的な事件とされることになったからである。



個人情報保護法によって、生まれたインセンティブとは何なのか?

それは、個人情報を守ろうとするインセンティブと、盗もうとするインセンティブの両方だ。個人情報が盗まれることで、企業側には風評被害なり、もろもろの損害が発生する。情報主体に被害のない漏洩であっても、やはり責任を追及される。



さらに情報窃盗に対する刑法は今のところないから、情報を盗むインセンティブは強烈に強まっているはずである。つまり、4月1日からは、個人情報の漏洩にとどまらず、窃盗、恐喝事件が増えるだろう。



個人情報に利用価値は通常0だが、企業側に損害があるということは、泥棒には何がしかの利益を生み出す可能性がある。要するに盗んだ情報になにがしかの価値があるのであれば、犯罪者はそれを換金する手段を考えるだろう。



これに対する分かりやすい対策は、情報窃盗罪のような刑罰を作ることが一つ。

だが、これはさらなる最悪の法律である。現在、この方向で警察官僚をはじめ、与謝野大臣等が動いているようだが、この立法はなんとしても阻止すべきだ。だが、どうやって?USAであれば、法律家、経済学者が反対するだろうが、日本では、ものの分かる人間はあまりに少ない。個人情報保護の時、池田信夫さん達が、声を上げて反対したのは、たしかに意義のあることだったが、効果という点では殆どなかった。(だが、これを名誉の敗北とするのは、やはり間違いだろう。)





個人情報保護法の施行の前後で、訴訟リスクとしては、不法行為、監督責任の2つしかないのは変わらない。

不法行為責任のようなものであれば、LiabilityRuleで、企業側は別にそれほど恐れることはない。親告する被害者がいれば集団訴訟でも何でも償うだけだろう。それだけのことだった。



もとより被害者のいない犯罪行為などあってはならないのだが、現実には、漏洩による訴訟リスクよりも、マスコミに騒がれることによる信用低下リスクを企業は恐れている。



法をたてにとって、取るに足らない漏洩を全国ニュースで取り上げ、企業の信用を毀損し犯罪者に仕立て上げる。このようなマスコミの行為はまさに脱法的で、本来なら、損害賠償を問うべきものだろう。

メディアは戦中の体制翼賛となんら変わっていない。しかし、いかれた似非インテリ左派の巣窟である、第4権力であり、第2ヤクザに等しい大メディアと喧嘩しても得るべきことが何もなくマイナスだけだ。だれもそんなことはしたがらない。



インセンティブのことから話がずれたが、最初になにを書こうとしていたのか忘れてしまった。(^^;
posted by libertarian at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | IPR(Intellectual Property Right) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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