2004年11月30日

Trade Secret vs Patent  : 営業秘密と特許

営業秘密と特許も正反対の法律である。

営業秘密は、情報の秘匿を保護し、特許は情報の公開と発明の促進へのインセンティブシステムだとされる。

特許法は産業政策だといわれる。不正競争防止法は、不法行為法の特別法ではあるが、営業秘密も別の産業政策の一つだろう。#ちなみに特許法に産業政策の意味合いがあるというのはあくまで<解釈>であって、法律にこれが産業政策だと書かれているわけではない。



では、営業秘密(Trade Secret)を不正競争防止法なるもので守る意味はあるのだろうか?この答えもノーだ。元は不法行為の特別法だが、制定法的な政府干渉の色彩が強い。特に経済産業省のガイドラインなどひどいものだ。営業秘密を法で守るには、別の罪、たとえば侵入罪であるとか、不法行為で裁くことで十分だ。自分の秘密は自分で守るのが原則である。



前に、職務発明の件で、Trade Secretで実施される職務発明については、発明者の財産権とされる権利を保護できない可能性が高いことを指摘した。この矛盾について、再び考えてみたい。

職務発明は、その財産権が発明者本人に原始的に帰属するというルールであるために、財産権ルールがそのまま適用される。最近の青色LEDのような相当の対価をめぐる裁判例は、単にこの財産権ルールがそのまま適用されただけである。<特許を受ける権利>や特許権が財産権である以上、召し上げも搾取も許されず、交換の契約が必要だということを意味する。従来の企業慣行は、単にこの財産権という意味を手前勝手に無視していただけである。



だが、この権利は、何度もいうように特権であって、本来の意味での権利ではない。

だから、職務発明に係わる矛盾をとりあえず解決し、今まで通りの運用を可能にするには<特許を受ける権利>を職務発明だけに関しては、最初から、企業側=使用者側に設定するのが一番いい。



職務発明における<特許をうける権利>を使用者側に設定しない先進国は、ドイツとアメリカが代表的だが、ドイツでは職務発明の対価の算定基準までが制定法に記述されている。

今回の35条改正は、どちらかというとアメリカ方式に近い。だが、そうするなら、むしろ職務発明における<特許を受ける権利>の原始的帰属の定義を除外抹消すべきであった。財産権の設定を残したまま、不完全な契約条項でごまかそうとしても矛盾は解消せず、改善の名にも値しない。



話を戻すが、現行法で、発明者の財産権とされている<特許を受ける権利>が、営業秘密として発明が実施されたときには、おそらく合法的に<相当の対価>が払われえないだろうことは、根本的な矛盾であり、財産権の侵害行為になる。



「善は矛盾せず、悪のみが矛盾する」とは、誰かの言葉だが、このような制定法によるPositive rights は、かようにいろんな根深い矛盾を惹起するのである。それを表面的な修正で直そうとしても矛盾が解消されることはない。
posted by libertarian at 11:04| IPR(Intellectual Property Right) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする