2004年12月12日

ハイエクと現代自由主義

「ハイエクと現代自由主義」という本を図書館で借りてざっと目を通した。

渡辺幹雄さんという人が書いたもので春秋社からでている。この人が20台後半という若年で出版したものだ。意欲的に政治哲学の多岐にわたる関係について書かれたものであるが、どうもはじめの方のハイエクの説明を読んだだけで、読む気が失せた。が、それでもざっと目を通した。



どこか根本的にハイエクが読めていない気がするのである。すくなくとも1996年という出版年からすれば、リバタリアニズムからのハイエクの評価がもっと書けていなければならないだろう。コンテキストが十分に見えてないところで、勉強の成果を書いているから、ちぐはぐで、部分的に正しい記述が多くとも、全体としては間違っている。もしくは、見当違いというものになってしまう。

日本人の大好きなロールズとか、そういったものと対比してハイエクを語るのもあまり意味がない。またポパーの読解もなかなか難しいものだが、ハイエクとポパーの関係の記述もいまいち出来が良くないようだ。



さらにConstructivismに対する訳語を設計主義でなく「構成主義」で通している。これはまあよいとしても合理主義、反合理主義といった訳語の使い方が、あまりに安易なのもいただけない。これは、日本のこの手の学界に共通するものだろうが。



何かを書くときに、もっとつきつめた思考が必要だ。Legal Positivismにいかに対抗するかをハイエクは"Law,Legislation and Liberty"で、随分老齢になってから挑んだわけだが、それは名著とはいえ決して完成されたものではない。

また分量的にも特に大きいわけでもない。(約3分の1は注であるし)

しかし、そこにある思想的切り口は、大きなヒントになるはずのもので、ハイエクが残してくれた知恵である。

それを現代に継承しようとしているのが、リバタリアニズムであるから、ハイエクを語ろうとするならそこにフォーカスすべきだったと思う。ハイエクの”哲学”にフォーカスしすぎて、その現代的な問題意識を見誤ったと言えるかもしれない。
posted by libertarian at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | F.A.HAYEK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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