2005年01月12日

青色LED裁判が和解

青色LED裁判が和解した。しかし中村修二さんは怒り心頭のようだから、和解というよりも強制的なものだったようだ。いろいろと裏事情がありそうな感じではある。まあ対価604億円から、6億円への1/100減額だから、円満な和解であるわけはない。



ヤンキースの松井秀樹の年棒が800万ドルで、ランディジョンソンになるとその倍の1600万ドルになる。中村修二さんの世紀の大発明(ブレイクスルー)が、松井の1年分の年棒にも満たないというのはお粗末すぎる。

スポーツ選手の年棒というのは、社会的に嫉妬を引き起こすものではないようだ。しかし、企業の従業員の報酬だと、非常に大きな社会的嫉妬の対象となって足を引っ張られるらしい。



こうなってみると、一番、ぼろ儲けしたのは、日亜の社長一族だ。上場すれば、大株主としておそらく数百億、数千億円のお金が転がり込むだろう。

それに対して、本質的なブレイクスルーによって、その企業価値そのものをもたらした中村さんの対価は6億円しかない。

使用者側は特許制度やこの特許権を利用することで巨額利益やその企業価値を作り出したのだから、さすがに、これは不公平というものだ。仮に一切の営業努力、製品化努力がなくとも、基本特許を元手にライセンスする会社を立ち上げれば、それだけで数百億の価値が生まれただろうし、6億の”交換”では、現行法上で財産のぼったくりに等しい。

今回のように最終的に”和解”を強制されるならば、<相当の対価>条項は意味がなくなる。

#ちなみに研究でブレイクスルーになる部分と、ブレイクスルーの後の皆でやった研究とでは、質的な価値が大きく違うのは自明だ。



今度の結末で思うのは、知財という、偽りの財産権=特権と、株主としての所有権という財産権の重みの違いだ。成文法上は従業者の特許を受ける権利や特許権という権利はまぎれもなく財産権だが、産業界の反発から、この従業員個人へ付与される<特許を受ける権利>という財産権を貶めた形になったとも言える。逆にいえば、結果的に重視されたのは使用者つまりは株主の財産権ということになるだろう。



とはいえ、今の日本のように職務発明での特許を受ける権利の発明者への原始的帰属という財産権設定をしている限り、企業は日本国内での研究リスクが高まり、海外へ研究所を移すという流れになる可能性もある。今回の東京高裁の和解勧告はこういったことへの配慮もあるだろう。だが、こういう結末に結局するのなら35条改定の際に特許を受ける権利の原始的帰属を、英仏式に使用者側に設定してしまえばよかったのだ。



しかし、どちらの側に法定の財産権を政府が設定するにしても、知財のような名ばかりの財産権なぞ政府特権に過ぎず、財産権ルールを適用するのは根本的な矛盾がある。知的財産権をめぐるごたごたのベストな解決策は、知的財産制度の世界的な全廃と、その他関連の法規制(薬事法など)の撤廃をすることだ。これはリバタリアニズムからの知的財産権という政府付与の特権制度に対する結論だが、案外、現実にいつかはそうなる可能性もあると思う。
posted by libertarian at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | IPR(Intellectual Property Right) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック