2005年11月27日

Module

 昨今の日本の法改定の動きは、前にも少し書いたが、ある種のデジュールスタンダード戦略であるといえる。

会社法の大改正も、個人情報保護法も、不正競争防止法も全て内部統制を企業に義務づける強行規定と化している。

健康増進法なんていう超危険な法律も既に施行され、街の風景も急激に変わってしまった。



法律が全てこういう内部統制強化の方向に向かっており、実効性を担保するためにもどれもご丁寧にもかなり重い刑罰つきの改正となっているのである。

これが国家主義の強化の方向であるのは言うまでもない。

これを断じて右傾化とか保守化とはいわない。

そうではなく国家社会主義体制の強化と正確に呼ぶ必要がある。

ナチスも旧ソ連も国家社会主義は法律が形作っていたのである。

人々の意識の問題など関係ない。これらの全体主義体制では法律が人を合法的に虐殺していたのだ。



法律の改正に先立って、行政が有識者なる民間のでしゃばりな俗物のバカ連中を集めて行う研究会、審議会がある。

これらの議事録は公開されているからそれを読むと何を考えているのか大体わかる。不正競争防止法の改正過程そのものにおいても、企業のレントシーキング、利権追求の場と成り下がってしまっているのが議事録から分かる。

[http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html]



不正競争防止法の改正内容も酷いものだ。田村善之なる北大の教師で中山信弘東大教授の後釜と目されている若造の書いた「知的財産法」によると、不正競争防止法はインセンティブ支援型立法だそうだが、インセンティブなどという言葉を安易に用いるべきではない。

不正競争防止法は元々が不法行為法に差止請求権を加えただけの民法特別法であるが、ここ数年で産業政策的な強行規定となってしまった。

不法行為法を正常に使えば、LiablityRuleによることになるが、これを産業政策的な強行規定にすることで換骨堕胎された感じである。



こういう審議会の議事録などを見ると、日本の立法過程がいかに無責任で考えの足りないものであるかがよくわかる。国会議員の多くは六法がどの法律で構成されているかも知らないようなバカ代表であるため、行政が音頭をとって、民間有識者なるバカ連中を組織し、それらと爺さんの大臣と、東大法学部あたりの法学者を交えて法律の土台を作るわけだが行政側の事務局が人選権を握ることで、行政の思惑通りに立法をしていくわけだ。

要するに小中学生的にみんなの意見を持ち寄って作りましたよという体裁を作っているだけである。



これらを見ると、経済産業省のストラテジーなるものが見えてくる気がする。

誰も話題にもしないが、経済産業省は新産業戦略なるものを1年前に発表している。

これらには安藤晴彦さんとかが旗振りをしているモデュール化戦略なるものも書かれている。

予想するに、これらの法改正が全て産業政策的な強行規定の色彩を強めている背景には、この誰も読まない経済産業省の新産業戦略が反映されているだろう。

恐らくISOのようなデジュールスタンダードに基づく内部統制によって、日本の生産性の低いホワイトカラーの業務をモデュール化し、それによって生産性を高めるという意図が一つにあるだろう。



これらの法改正がなぜ致命的にダメなのかといえば、先にあげたドラッカーの言葉を借りれば、「つまるところ企業や病院はもとより軍を含むあらゆる組織が、まさに自主性を奪われて機能不全に陥る」だろうことにある。

インセンティブを設計することが同時に民間の主体性=initiativeを殺すことになるのである。

法とは自由を保障することだけにその存在価値があり、自由を露骨に制限する法律など法ではないのである。




posted by libertarian at 15:45| Comment(0) | TrackBack(0) | Law | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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