2006年01月16日

電波利権

本日、池田信夫先生の新著「電波利権」を一気に読んだ。

これは非常に面白かった。良い本とは何かをとてもよく分かった気にさせてくれるものだが、この本もそういった数少ない本の一つといえよう。

今まで池田先生の論文を読んでも良く分からなかったところが分かってきた。



池田先生はやはり本来がジャーナリズムの人なのだろう。戦後の電波行政から現代のIP通信まで変遷の詳しい裏事情までを興味深く明晰に説明している。

この本を読むと電波による言論の支配構造=電波社会主義が見えてくる。



電波というのは目にも見えないし電気屋の専門分野というイメージでなかなか一般人の関心の対象になりにくいが、その本質は行政問題であり、既得権益の問題だということだ。

総務省が特定の事業者に対し一体何の権利があってか、勝手に独占排他使用権を設定しているわけだが、

知的財産権とも違って、使用者側が払う代償が何もない。つまり知的財産権以上の、政府によって与えられた純粋な特権=Privilegeに過ぎない。



総務省による電波の割り当て行政とは、いわば、政府が数兆円相当の価値がある都心の超一等地を、ただで、ほぼ無期限に特定の事業者に独占排他的に使用させているのと同じだ。

#おまけに電波は、土地と違って固定資産税すらかからない。



だが、実際はタダより高いものはないという格言通り、利権という不正な形での相互利益供与体制になっているのだろう。

これはまがりなりにも言論機関である以上、自殺行為である。



電波帯域の割り当て行政の根拠は、従来のアナログ通信技術には干渉=interferenceの問題があるからである。

つまり既存の帯域の”所有者”の財産権を侵さないように調整するという理屈である。

各人がでたらめに帯域を使用すると電波干渉が起こる以上、やむを得ないと思われているのだろう。



池田先生の唱えるIP Over EverythingもしくはEverything Over IPというビジョンは、通信機器、通信方式をIP化することにより帯域は事実上無尽蔵とできるから、電波のScarcityの問題を解決することができるということではないかと思う。

そうなったとき帯域そのものに経済価値は殆どなくなる。コンテンツだけの競争になるし、それは望ましい姿だ。

民放が、どこも似たようなくだらなさ過ぎる番組を垂れ流しているのは、電波利権つまりは帯域インフラの経済価値の上にあぐらをかいていて、肝心のコンテンツの競争がないからだ。

受信料を受益者負担にするべしというのも今後のメディアが目指すべき方向性であることは間違いない。



この本は、ネット時代の問題の本質を考える上で非常にためになる。

一読を是非お勧めする。
posted by libertarian at 22:51| Comment(0) | TrackBack(1) | Law | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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