2006年06月25日

Punitive damages

懲罰的賠償(punitive damages)というのは、日本の不法行為法(民法709条)にはない。さらに差止請求権も不法行為法とは別になっているが、アメリカの不法行為法(Torts law)ではこれらは一体となっているようだ。



日本の不法行為法が”弱い”ために、別枠で差止請求権を加えた不正競争防止法を作ったり、重い刑罰を加えた産業政策法などを作って、制度の実行性を担保しようとするわけだ。



例えば、走行中のトラックの車輪が外れ、そのタイヤが歩行者に直撃して死亡させたという事件があったが、この裁判判断では日本の不法行為法のルール通り、要求された懲罰的賠償は拒絶された。



アメリカでの懲罰的賠償の制度もアブノーマルな天文学的賠償額(2002年にタバコ裁判で280億ドルの判決)を陪審制度のもとで被告企業に対し平気で出すようになり企業活動に対する死刑制度のようなものとなったが、2003年の連邦最高裁のまっとうな判断(State farm 事件で米国憲法14条違反と判示)以来、フィーバーは落ち着きつつあるようだ。



TORTS RULEのようなコモンロー的な法理は、殆どの人間活動を民事的に解決していくというパワーを持っており、そのことが行政の介入を制限することにもなる。

逆に日本の不法行為法のように弱すぎると、それを穴埋めする形で政府が介入しもろもろの規制を作り出していく。



アメリカの昨今の懲罰的賠償の行き過ぎはむしろ一時的なものだろう。

判断の根底に企業=悪で、お金を沢山搾取して持っている悪い奴らというイメージがあるのだろうが、それは事実ではない。



また裁判制度そのものが超越的な絶対的立場にあるという前提に立っているため、裁判システム間の競争がありえない。

裁判システムを複数共存させ、それを競争させるというビジョンを非現実的なものとして捨て去るべきではない。

そういった仮定の話はまさに学問的かつ理論的なテーマだ。
posted by libertarian at 04:43| Comment(0) | TrackBack(0) | Law | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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