2014年02月16日

Why nations fail

アセモグルとロビンソンの「国家はなぜ衰退するのか」を半分、上巻だけ読んだ。この本は、経済的発展の必要条件として、私的所有権、契約の自由といった社会制度、つまりはそれらを可能にする法の支配が決定的だということを歴史的にいろんな例を挙げて論じている。

従来、経済的格差を説明する仮説として、地理説(モンテスキュー)や、文化説(マックスウェーバー)、さらに無知説があるが、これらを否定する。この本の結論というか主張は、経済活動には個人のインセンティブが本質であり、インセンティブを喚起する、またはインセンティブを否定しないものとして、私的所有権、財産権が決定的に重要であることは、ハイエクやいろんなリバタリアンが言っていることとほぼ同じ。アインランドとも同じだ。右矢印1The only path to tomorrowを読めば分かる。

ややスタンスが異なってくるのは、この私的所有権を保障するのに、「法の支配」という概念を持ってくるかどうかという点だろう。
スペインがとったような収奪的な制度は、絶対主義(これは絶対的専制君主主義という意味か?)、共産主義、奴隷制、農奴制といろいろ形はあるが、持続可能性がないという。インセンティブを否定する制度に経済的発展があるはずもなく、これは当然か。

「法の支配」を強調するのは、ハイエクのクラシカルリベラルの立場であり、アセモグルもその点は、ハイエクの後継者的な立場かもしれない。つまり、ある程度の中央集権が必要と考えるわけだ。この点は無政府主義が好きなリバタリアンとは異なる点であろう。

アセモグルは経済学者で、ロビンソンは政治学者らしいが、この本は8−9割は歴史書という感じである。
いろんな事例が書かれていて興味深いが、結論は全て同じで、私的所有権、法の支配の重要性を確認している。
歴史書として読まなければ、結構くどい感じがある。

こういった結論は今はそれほど新奇なものではなく、むしろ一般了解事項なのではないかと思う。
例えば、マットリドレーの「繁栄」も、似たような趣旨であるし、ウィリアム バーンスタインの著作、「華麗なる交易」「豊かさの誕生」といった本もそうである。

歴史書としての面白さという点では、私はバーンスタインの本がいいと思う。


あと、この本でソマリアが失敗として上げられている訳だが、ソマリアは無政府状態が長く続き、アナーキーな状態にあるが、それなりの秩序がある状態のようだ。
このソマリアの行方を無政府リバタリアンは、興味深く見守っているようだ。

posted by libertarian at 20:44| 東京 ☀| Libertarianism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする