2007年04月24日

Gray zone interest on money

井上元判事が、利息制限法一部空文化判決に対して批判をしている。これを読むと井上判事はバランスのとれた、ものの見えた人物だとあらためて分かる。

まずグレーゾーン金利について簡単にまとめておこう。
意外と知られていないのは、出資法と利息制限法といった似たような法律がなぜ二つあるのかだ。本質的な違いは出資法は貸金業者を対象とした産業政策法に属する公法であり、利息制限法は私法に分類され一般人にも適用されるという点だ。

出資法の上限金利が29.2%と固定で、利息制限法は、貸出額に応じて3段階あり、10万円未満が年20%、10〜100万円が18%、100万円以上が15%となっている。
この間の金利がグレーゾーン金利と言われている。
公法である出資法は、違反すると刑事罰が課される。そのため、闇金でない通常の貸し金業者は、出資法の枠内つまり29,2%以下で合法的に営業する。一方の利息制限法は私法であり、刑事罰はない。

実のところ問題は、この利息制限法の方だ。利息制限法がある以上、グレーゾーン金利であっても、違法ではないかと考えるのが普通だろうが、利息制限法1条の全文をちゃんと読まないといけない。
この1条の解釈で、井上元判事が指摘する利息制限法の最高裁による一部空文化判決の問題が登場するのである。

まず利息制限法の条文だが、第1条が次の通り。

(利息の最高限)
第一条  金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
   元本が十万円未満の場合          年二割
元本が十万円以上百万円未満の場合     年一割八分
元本が百万円以上の場合          年一割五分

2  債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。


1条1項で上限金利の制限を行い、その超過部分につき無効とする規定をおきながら、2項では、「債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。」としている。この”任意”で支払った場合はというのが、極めて重要な要件になる。
この2項で契約自由の原則を担保しており、任意の支払いであれば、1項の上限金利を上回っていても違法ではないとしているのである。この2項の存在が重大なのだ。

しかし昭和43年の最高裁判決で、この利息制限法の2項を空文化する判決を出した。つまり、2項で規定する任意で支払済みの超過分も、貸した方が返還せよとする判決を出したのだ。
これによって司法府は立法府が作った法律を勝手に空文化したことになる。これは、明らかに3権分立をおかした越権であり司法府が違法を行っているのだと井上元判事は分析する。

その後、この1条2項の空文化判決によってグレーゾーン金利というより利息制限法を上回る金利領域(つまり上限なし)はますます法律解釈的にもグレーなゾーンとなった。利息制限法1条2項によって違法性を否定されてる行為が場合によると違法かもしれないという状況になった。
いわゆる大手銀行であれば、この利息制限法の枠でしか営業をしないし、つまるところは個人のリテール相手にはあまり貸さない。

一方の貸金業であるサラ金業界では、通常このグレーゾーン金利の出資法の上限金利内で商売をし、ほとんど担保もない個人相手に営業をおこなってきた。
だが、貸金業界は、この最高裁の1条2項の空文化判決により法的には極めて危ない橋をわたってきた。
こういった状況から、昨年からのサラ金規制法に至ったわけだ。
この法の効果は劇的であった。だが、サラ金が消えたことよりももっと恐ろしい結末がそのうち明らかになることだろう。
金融社会主義とは、そのまま露骨な社会主義統制経済以外のなにものでもない。
つまり、これによる結末として社会から自由そのものが消える可能性が高い。
posted by libertarian at 07:28| Comment(0) | TrackBack(0) | Law | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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