2014年07月30日

What is happened, What is not happened

戦争は合理的な行動であることを証明しない限り、戦争論なんていうものは全て個人的なエッセイにすぎない。
ウォルツにしても、基本的に戦争は勝った方も負けた方も損失ばかり巨大で、不合理な行動だと考えているようだが、こういう直感的な判断をしているから、戦争論なんてものはつまらんエッセイに過ぎないと思うわけだ。人間という動物の本質的な不合理さを理由にもってくるのは、単なる循環論法にすぎない。

戦争がおこり、仮に強い方が順当に勝ったとする。しかし、莫大な出費と人命の損失、巨大な破壊を被ったとする。
すると、その損失に目を奪われて、強国が勝っても戦争は得策ではない、愚かな行動だったと後知恵で思う。
しかし、ここでは、もし戦争をしていなかった場合の、想定される最悪の損失との比較がされてない。
最悪の損失が100とすれば、戦争で失った損失はもしかしたら1程度だったのかもしれない。
セキュリティやリスクを考える際は、往々にして最悪と0の比較になる。
もし、最悪がー∞とすれば、有限の損失回避行動は必ず合理的なのである。
最悪がー∞というのは、国家の滅亡という意味で、これは個人の死よりもはるかに大きなものと考えるわけだ。

コンピューターセキュリティでも、まともなリスク計算は難しいが、通常でもかなり過大にみえる投資をしないといけない。
リスクなどまともに計算する方法がないから、原則、最悪として会社が潰れる事態を想定する。
合理的なリスク計算を困難にさせ、ー∞と0との比較になるのは、そこがアナーキーな世界だからである。
逆に言えば、アナーキーとは、リスク計算ができない世界ともいえる。ー∞と0の2つしかない世界である。

話は違うが、今の西ヨーロッパが第2次大戦以来から数えて50年以上、平和であるのは、なぜかという問題がある。
いろいろな理由が挙げられているが、ミアシャイマーによると、それはアメリカ軍の駐留のお蔭だとしている。
もし、アメリカが撤退すれば、また衝突が起こるようになる可能性が高い。
アメリカ軍の駐留が西ヨーロッパにアナーキーでない状態をもたらしているともいえるだろう。

アメリカ国内にしても、南北戦争以来、大した内乱はない。
アメリカの州の間でなぜ戦争が起きないのかといえば、連邦制度によって州と州の関係がアナーキーではないからといえるだろう。
また教育によって、アメリカという連邦国家への帰属意識をもたせているということもある。アメリカ人はアメリカ人であって、カリフォルニア人といった州への帰属意識はないだろう。
リンカーンへの評価はいろいろあるが、もし連邦制の維持によって、その後に起こったかもしれない、より多くの戦争とより巨大な被害を防いだとするならば、やはりリンカーンは偉かったということになろう。だが、起こらなかったことの評価は基本的にできないのである。





posted by libertarian at 12:48| 東京 ☀| Modern HIstory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする