2007年05月05日

Denationalisation of Money

以下の設問は、F.A.Hayekによるものである。
「貨幣発行自由化論」より抜粋する。

1. 一国にはただひとつの通貨が存在すべきであり、かつそれは政府によって管理されなければならないという長く持ちつづけられてきた見解を検討せよ。遠い過去の歴史と最近の歴史から例を挙げて読者の議論を説明せよ。

2。法貨の起源は何か。法貨は貨幣制度の不可欠な基礎であるかどうかを議論せよ。

3。貨幣を定義せよ。それは非貨幣資産とどう区別されるか。貨幣の「数量」という概念は適切かどうか議論せよ。その議論を貨幣「数量」説に適用せよ。

4。「経済の必要に応じ貨幣の供給を変化させうるように政府が貨幣を管理することは望ましいことである。」
「貨幣が政府によって統制されてきたために、人々は貨幣に対する信頼を失ってきた。」
これらの点を議論せよ。

5。歴史の示すところによれば、「法貨」である紙幣に対する信頼が時に失われている。競争紙幣制度はどのようにして公衆の信頼を維持することができるのか。

6。「信頼されるためには、紙幣は価値をもった財や貴金属に交換することが可能でなければならない。」読者は賛成するか。この交換可能性が不可欠である場合とそうでない場合の条件について論じよ。

7。貨幣量が政府によって統制されなければ、インフレーションおよびデフレーションが生じるのは困難もしくは不可能であろうという見解について議論せよ。
1929ー32年の大恐慌と1972ー75年の大インフレーションより、読者の解答を例証せよ。

8。好況と不況は、「資本主義」と結び付いている。それらは資本主義でない経済においても見られるか。それらは資本主義の結果なのかそれとも他に原因があるのか。

9。「利害関係者の激しい圧力を受けあるいはそれにさらされている貨幣当局が、雇用増大のために貨幣量の増加、これによるインフレーションの発生を回避することは政治上は不可能である。金本位制や固定相場制、さらにその他の貨幣拡張を阻止するような制約は不十分であることが分かってきた。」
これらの点を議論せよ。

10。通貨の国際移動を統制する一国の政府権力をどのようにして取り除けばよいか。国際協定で十分であろうか。それよりも通貨のでの競争の方がどれだけ効果的であるか

==========
大学の経済学の教授にお金、もしくは通貨とはなにかを聞いてみれば、その人の経済学理解の根本がどのようなものか簡単にわかるだろう。
moneyもしくはcurrencyとは何かは、経済学の基礎論にあたるDeepなポイントだ。
ほとんどの経済学者は、通貨(=currency)として法貨(=legal tender)以外のものを想定すらしていない。
この本の翻訳をした川口慎二氏のあとがきには、「現代は”貨幣論のない金融論”の時代である。これは貨幣法定主義を前提としかつ金融規制が支配的であったこれまでの制度からの当然の結果であると考えられる。」とある。

ハイエクによれば、通貨発行の政府独占こそが、インフレーションを招き、景気循環を引き起こす原因である。これに対し、民間銀行が発券銀行となり、様々な種類の通貨を発行する競争を行うべきだとしているのである。通貨の信用は民間企業の競争の中から生まれるとする。
インフレーションとは、一般物価価格の”平均的”上昇ではない。そうではなく価格が平均的には上昇せず、相対価格の構造を破壊し、その結果として誤った資源配分や、投資がされることこそが問題だと分析する。

M.フリードマンのマネタリズムには、賛同しつつも、フリードマンの現実主義に対しては「現時点で可能なことを決定するのは政治家の任務であり経済学者の任務ではない。経済学者がこうした姿勢を固執しつづけることは災害をもたらすことになるであろうことを指摘しつづけなければならない。」と書いている。
posted by libertarian at 20:57| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | F.A.HAYEK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕的にハイエクの最重要な業績はこの貨幣自由化論ですね。大学時代に衝撃を受けました。

今はいろんなポイントや、セカンドライフ的貨幣もありで、ハイエクの言った世界が近づいているのではないでしょうか。

僕的にはこれはすごいことで、国家を超えた、おおきな市場原理主義の進展だと思います。
Posted by くら at 2007年05月07日 00:59
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック