2015年02月03日

ISIL

イスラム国(ISIL)についていくつか本を読んでみたが、これは思っていた以上に大きな問題であると分かった。
ISILは今後の世界の歴史を大きく左右する存在となるだろう。

先にイスラム原理主義と書いたが、最近では原理主義という言葉はあまり使われない。これは欧米がプロテスタントのfundamentalismと一緒の呼び方を好まないのが原因のようだ。
しかし、原典に還れという意味では、原理主義と言った方がわかりやすい。
イスラムでは、これはサラフィズム(salafism),サラフィー主義と呼ばれる。
ISILのサラフィズムは、タリバンなどと違い新しいテクノロジーを受け入れる点が異なる点だ。だが、その他はアナクロともいえる厳格な戒律を重視するサラフィズム、原理主義だ。

ISILが従来のサラフィズムを掲げる過激派、アルカイダやタリバンなどのゲリラと戦略的に違うのは、領土的野心を持っている点である。
ISILのカリフ、アル バクダッディは、領土を得ない国の建設はあり得ないということを理解し、カリフ制の国を建設しようとしている。
これは、いままでどのイスラムも達成できなかったが、それを瞬く間に実現し、さらに領土を急速に拡大している。
今はまだ偽装国家(shell state)だが、そのうち他国も承認をせざるを得なくなるだろう。

このカリフ、バクダッディはムハンマドの末裔を自称し、バクダッド大学で神学を収めたインテリで学者の家柄。
このバクダッディの指導力、戦略眼が従来のサラフィズムとは別次元の成功をおさめた原因かもしれない。1971年生まれだから、まだ若い。
我々はイスラムにおける新しい巨大パワーの台頭を目撃することになりそうだ。

ISILは、スンニー派のカリフ制国家の建設を行っているわけだが、シーア派を根絶やしにするという戦略を持っている。
実際に、シーア派の村を襲って、女子供を問わず虐殺をすることを繰り返しているようだ。
もともとシーア派はスンニー派に比べると数は小さい。中東はイランとシリアがシーア派の拠点だが、シリアはISILの手におちつつある。
ISISに比べると、サダムフセインは随分穏健だったのではないかと感じる。

こうなってくると、もはや欧米はなすすべもないのではなかろうか。経済封鎖もほぼ不可能。空爆は効果なし。
イラクへの予防戦争とやらに天文学的な費用と、多くの人命を投入して結果がこれだから、今後アメリカは中東から手を引いていくのではないか。イラク侵攻は中東のパワーバランスを破壊し、カオスしか生まなかった。
イラク侵攻を推進したのはネオコンこと共和党リベラル派だった。一方のミアシャイマーらリアリストは反対をしていたが、結果はリアリストの勝ちだ。戦力は有限な資源なので、中東から手を引き、シナの方へ向かうのかもしれない。

イランは核保有国だが、近未来的にはイランとイスラム国の間で第3次世界大戦が起こる可能性もあるかもしれない。そうなればイランによる核の使用もあるかもしれない。
ローマ教皇は、去年、第3次世界大戦は既に始まっていると述べたそうだ。

日本は中東からは一切手を引いた方がいいだろう。関わらないことが一番のセキュリティ対策である。
人道支援と称して資金を提供するのもやめといた方がよいだろう。資金を紛争国に供与すれば、人道支援と軍事支援の区別などできない。
お金に色はついていないからだ。

posted by libertarian at 18:50| 東京 ☀| Modern HIstory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする