2015年03月02日

ISLAM borderless world

イスラムに関する本を何冊か読んだが、中田考氏の著書が興味深かった。
中東の近現代史も、イスラム教も何も知らなかったので、中東情勢の意味は全く持って不可解であったが、すこしずつ見えてきたこともある。
イスラームについては、中田氏の「イスラーム 生と死と聖戦」が分かりやすい。
今の中東の国境線は、第一次大戦後にイギリス、フランス、イタリアが人為的に引いた線だが、植民地主義の結果として国民国家が作られ、イスラムが分断統治されてきた。
それまでイスラームは一人のカリフによって統治されてきた。これは人による支配ではなく、イスラム法、シャリーアに基づく自然法による統治であった。カリフとはイスラム法の支配の象徴的な存在である。だからこれは独裁制とは全く意味が違う。
イスラームは、本来ボーダーレスな世界であり、国民国家とは対立する。カリフが否定されたことで、イスラームが分断されてきた。
そこで、中田氏は極東の島国でカリフの再興を図っている。

シーア派とスンナ派の対立も、実は最近のものでシリアのアサドが、シーア派であり、シリア紛争でスンナ派の虐殺をしてきた。
アサド政権を支持してきたのが、社会主義圏のロシア、シナ、北朝鮮であり、シーア派国のイランであった。
シリア紛争が、宗派戦争を形成したそうだ。
そし、そのシリア紛争の中からISISのようなスンナ派の国家が台頭をしてきた。

面白いと思うのは、イスラームがリバタリアン的なビジョンと重なる点である。人定法でなく自然法による統治、ボーダーレスな世界といったものがそれだ。イスラム教徒は世界に16億人いる。しかしカリフが今のところいないままだ。
ISISのバクダッディはカリフを自称しているが、それはまだイスラム教徒から認められた存在ではない。
欧米からすればイスラームの結集こそが脅威であるし、今の国民国家として分断されたイスラム諸国の既得権層も同様にカリフ制に脅威を感じている。だがイスラームにとって、カリフは必要不可欠な存在であるとする中田氏はアメリカから危険人物としてマークされているらしい。w

歴史を学ぶとキリスト教というのは、悪逆非道の限りを尽くしてきたことがわかる。イスラムが侵略をしてきたわけではない。
キリスト教は恐るべきカルト教団だというのが、前々からの私の印象だ。
ヨーロッパの教会などを見ても、権威主義の塊で嫌悪感を感じるほどだ。
キリスト教は新約聖書の中にも、キリスト本人の言葉というのはほとんど残っていないことが分かっているそうだ。キリスト教はキリストに帰依するものなのにキリストの言葉が保存されてこなかったというのは象徴的だ。キリスト教は宗教というより政治的なカルト組織だったのだろう。
イスラムはその点、アッラーに対する帰依しかないから政治権力とは結びつきようがない。だから教会も特権階級としての司祭もなにもない。

自分が世界を見る上で、イスラム諸国は全くなにもわからない真空地帯であったが、やはりイスラム教そのものをある程度どういうものか知らないとこの世界はなにも見えてこない。国民国家という植民地主義の装置を見るのでなく、イスラームをみないと何もわからないわけだ。


posted by libertarian at 15:27| 東京 ☀| Modern HIstory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする