2015年11月17日

President and Emperor

China2049を読むと、アメリカの支那に対するシンパシーというのは似た者同士だからということがわかる。
というか、お互いに似た者同士であることは自認している。

アメリカは、ヨーロッパから遅れてきた植民地帝国主義国家であるが、第1次大戦前までは、ただの冴えない新興国であった。植民地はヨーロッパにほとんど取られていたから介入することもできず、奴隷を自国内にさらってきて、自国内で植民地と同じような収奪経済を作っていた。しかし常に侵略と植民地を奪う機会は伺っていた。

アメリカの特異性は良くも悪くもその連邦憲法にあり、特に大統領の権限がヨーロッパに比べて特異だ。
アメリカ大統領はローマ皇帝に近い存在で、元首であり軍の最高司令官であり、内政に関してはそうでもないが、外政、戦争に関しては圧倒的な権力を持っている。
アメリカは建国当初からローマ帝国をイメージして作られていた。議事堂などもローマ建築風に作られた。
イギリスはパワーバランス外交をずっとやってきたが、アメリカ大統領はイギリス首相とは違ってローマ皇帝だから、パワーバランスなど鼻から無視するわけだ。ヨーロッパではローマからイギリス型の帝国まで1000年くらいかけたわけだが、アメリカは一挙にローマにまでロールバックしてしまう存在であった。当然にウェストファリア秩序なんか最初からくそくらえと思っていた。

そもそも国とは集団的安全保障のための体制であるから、日本以外の普通の国では軍事セキュリティに関する権力の制限はないのである。そしてアメリカの場合は、大統領に対し特に戦争権限が強く与えられおり、戦争行為に相当することを議会の承認を全く得ずに勝手に行うことができるようになっている。

この最悪の例がFDルーズベルトであった。
当時、ルーズベルトが議会の承認を得ずに、秘密工作なりに使えれる資金は今の金額では100億ドルレベルあったらしい。それを使ってルーズベルトはやりたい放題、秘密工作ができたし、密約外交もやりたい放題であった。密約外交の内容も議会には知らせる義務がなかった。
あのハルノートの存在すらもFDRは議会に対しずっと隠し通したのである。議会がハルノートの存在と内容を知ったのは2−3年経ってからだという。その時、議会もFDRに騙されていたことがようやくわかったのだが、時すでに遅しであった。
そして戦争に勝てば大統領の支持と権力を大きく高めるからアメリカの大統領にとって戦争に対するインセンティブは非常に大きい。こういう理由による戦争へのインセンティブは歴史上、大国には常にあるだろう。

未だにアメリカ大統領の戦争権限を制限する仕組みはない。開戦にかんして議会の事後承認を得なければいけないという決議はFDR以後にできたが、これはその後の大統領に無視され続けている。というのも、これは議会決議であって法律ではない。そもそもアメリカの連邦議会にはそのような法律の立法権限が憲法上ないからである。このことは憲法を大きく変えない限り、今後もアメリカ大統領の戦争権限を制限することはできないということだ。

大国は大国であるから弱小国と戦争をすれば容易に勝てる。そして勝つと大統領の支持は圧倒的に高まる。だが、ただの暴力だと体面がつかないのでいろいろと工作をして因縁をつけるわけだ。米西戦争もハワイ侵略もフィリピン侵略も太平洋戦争もそうやって行われた。こういった工作を大統領が合法的に秘密裏に行えるのである。議会承認義務もなく自由に使える資金もふんだんにあり、それを制限する仕組みはどこにもない。

アメリカ大統領が現代のローマ皇帝だとすると、支那中共はやはり古き中華の皇帝といったところか。
元や明、清と今の支那中共は同じだろう。基本が何も変わらない。
皇帝の君臨する国というのが両者のよく似ているところで、この2つはどちらもヨーロッパ近代以前の存在といえるわけだ。
posted by libertarian at 02:17| 東京 ☁| Modern HIstory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする