2016年07月18日

リベラルヘゲモニーからオフショア・バランシング戦略へ:Back to Offshore Balancing starategy from liberal hegemony strategy

ジョン ミアシャイマーとS.ウォルトの最新の共著論文"The case for Offshore Balancing"を読んだ。
フォーリン・アフェアーズに載った論文である。
http://mearsheimer.uchicago.edu/pdfs/Offshore%20Balancing.pdf

この論文は次期政権に向けて書かれた内容と言えるだろう。ミアシャイマーとウォルトは、ソビエトが崩壊した冷戦以降のアメリカのliberal hegemony戦略から、アメリカの伝統的な国際戦略ともいえるoffshore balancing戦略への転換を唱えている。

リベラルヘゲモニー戦略とは、アメリカが世界の警察官となり直接介入をし、民主主義を広める積極的な役割を果たそうとするものだが、この約30年間の惨憺たる成果はこの戦略が根本的に誤りであったからだと具体的に指摘している。

そして、この論文の提言は次のように非常に具体的なものだ。

1.アメリカはヨーロッパでのNATO駐留を引き上げるべきだ。ヨーロッパには潜在的な覇権国(hegemon)は存在しない。

2.アメリカはペルシャ湾から駐留軍を引き上げ、オフショア・バランシング政策をとるべきだ。
ISはアメリカにとってマイナーな問題に過ぎず、アラブ地域の問題はその地域の伝統による長い時間をかけた解決しかない。

3.シリア内紛に関してはアメリカはその主導権をロシアに渡すべきである。

4.アメリカはイランとの関係を深めるべきである。イランとチャイナは同盟を結ぼうとしているが、アメリカはこの同盟を阻止すべきである。

5.チャイナは潜在的な覇権国(Hegemon)であり、その周辺国がチャイナに対するバランシング同盟を築くのも地理的に離れているため困難であり、アメリカの介入と協力が不可欠である。

私が、思うに、クリントンが大統領になれば、今までのリベラルヘゲモニー戦略を継続するだろう。クリントンはそのど真ん中でやってきた当事者だからである。
しかし、トランプが大統領になればオフショア・バランシング政策をとる可能性が大いにあると思う。今までのトランプの発言とオフショア・バランシング戦略は矛盾しない。
posted by libertarian at 20:21| 東京 ☁| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする