2016年07月19日

ミアシャイマーによるヨーロッパ安全保障体制の分析:Defining a new security architecture for Europe that brings Russia in from the Cold

ミアシャイマーの論文"Defining a new security architecture for Europe that brings Russia in from the Cold"を読んだ。
これも今年2016年6月に発表された論文なので新しい。
http://mearsheimer.uchicago.edu/pdfs/Military%20Review.pdf

内容を簡単に紹介しておこう。
#詳しく知りたければ、ミアシャイマーの上記論文を参照のこと。ミアシャイマーの英語は非常に平易なので読みやすい。

この論文で、ミアシャイマーはヨーロッパを巡る情勢を1990-2008と、2008-現在までの2つに分けて論じている。2008年までのヨーロッパ情勢は実に安定していた。
しかし、2008年以降、ヨーロッパはNATOを東に拡張し、グルジアとウクライナをNATOに取り込もうとする。またEUは東ヨーロッパをEU圏に取り込んでいく。さらに2008年以降はオバマが大統領になりDemocracy Promotionが政策となる。
この3つの動きがロシアに耐え難いプレッシャーを与えることになった。
プーチンはEU、NATOが引かなければウクライナを西側に参加できないほどのダメージを与えると言っている。
結論的に、ミアシャイマーは今の状態を終わらせるには西側が引いて2008年以前の体制に戻しウクライナは緩衝国に戻すことがベストだと考えている。
だが、ヨーロッパ諸国はあまりにこの問題にコミットしすぎていて埋没コストが高くなっているため、撤退するのは政治的に困難となっている。

2019年にはイギリスはヨーロッパ大陸から軍隊を全面撤兵する。
また現在、アメリカにとって、ヨーロッパは北東アジア、ペルシャ湾に次ぐ第3の重要性しかもたない地域となっている。今後、アメリカはヨーロッパから北東アジアに軸足を大きく移し、チャイナに対抗することになる。
これらはヨーロッパにとって不安定要因となる。
2008年以前のヨーロッパの安全保障体制は最高であったが、その後、西側は自らそれを壊してしまったのである。

posted by libertarian at 11:37| 東京 ☁| アメリカ政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする