2017年05月14日

渡部昇一とハイエク

渡部昇一氏が永眠された。
うらやましいような、いい人生を歩まれた稀有な知識人だったと思う。
渡部氏は大量の著作を出されていて、私はそのほんの一部を読んだことしかないが、それでも20冊くらいは読んだことがあると思う。

私の印象では、渡部昇一はイギリスの良質の古典的自由主義を理解しかつ体現していた日本人ではほんとに稀有な自由人だったのではないかと思う。英文学の研究経由でチェスタトンなどを深く理解していたのであろう。
また、若き日にハイエクの通訳として交流があったというのも稀なる偶然だ。
渡部昇一氏の書いたハイエク本が日本人の書いたハイエク本の中では最も良質な本だと思う。というか、それしかマトモなハイエク本は見当たらない。
ハイエクはオーストリア生まれだが、イギリス人となりイギリスの古典的自由主義を研究し、それをリバイバルさせた人物であったといえると思う。ハイエクの保守主義とはイギリスの古典的自由主義(classical liberalism)のことである。

稀有な特権的な体験を積み重ねる中で、渡部昇一という古典的自由主義者が日本に生まれたというのは奇跡的というべきかもしれない。
70年−80年代の左翼全盛の中で、猛烈な個人攻撃にさらされながらも、独自の言論を展開し続けた胆力はチェスタトン譲りの信念があったからかもしれない。
今の日本には渡部昇一に相当するような知識人はどの世代をみても全く見当たらない。
そして、日本には古典的自由主義を理解する人間はいなくなってしまった。
posted by libertarian at 07:54| 東京 ☀| F.A.HAYEK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする