2007年06月19日

Additional Judicial Review

司法は腐り人権滅ぶ 井上薫 講談社現代新書

井上元判事の最新刊を買った。
この中で違憲立法審査制度についての記述があるのだが、まとめておこう。
違憲立法審査制度は、なかなかに私も良く分からない部分であったが、この本の解説を読んでよく理解できた。
まず、違憲立法審査権の憲法上の根拠条文は憲法の第6章(司法)の第81条である。

憲法 第八十一条  最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

この解釈だが、その前に、違憲立法審査制度には、ドイツのような憲法裁判所を置き、立法審査を当たる場合がある。ここにおける”抽象的裁判”で違憲とされた法律はすぐに失効する。
これは司法による消極的立法と呼べる。
しかし、日本には、このような憲法裁判所制度は当然ながらない。
日本の違憲立法審査81条が、憲法上、どのような位置づけにあるかが法解釈上の前提条件になるが、81条は日本の憲法6章(司法)におかれていることから、”司法についての規程”であり、法律にもとづいて裁判所が具体的事件を裁判する場合の規定である。

このため、違憲立法審査権とは、「具体的事件を裁判する上で必要な範囲で行使することができる」と理解しなければならないことになる。「81条の条文の位置が、違憲立法審査を抽象的裁判と理解させる可能性を奪っている」とする。
これにより、違憲に関する”一般論的判決”を裁判所が出すことをできないことを意味し、それをした場合、司法の越権行為であり違法行為となる。
そして「このように、違憲立法審査権を具体的事件を裁判する上で必要な範囲でのみ行使する制度を付随的違憲立法審査制度と呼ぶ。」
#なお、81条の解釈として付随的違憲立法審査権は最高裁にのみあるのではなく下級審にもあることを暗黙のうちに認めている。

そして、井上氏は、1968年の尊属殺人事件で、刑法200条の尊属殺人に対し一般的違憲判決を下した最高裁の大法廷判決は、明らかに違法行為だとする。

具体的には、ここで一般的違憲判断を下したことが間違いであった。親を殺したから即、尊属殺人を適用しようとしたことには無理があり、この事件で「被告人が父を殺した行為に尊属殺人罪を適用することは平等原則に違反するという判断こそ、裁判所の権限からしてあるべき憲法判断でした。」と結論する。こうすれば、尊属殺人そのものに対する一般的違憲判断をしないで済むことになる。

「この憲法裁判所のまねをした本件裁判所の所業を私は”憲法裁判所ごっこ”と呼んでいます。」

#ちなみに、この刑法200条(尊属殺人)は、平成7年の刑法の口語体化にともない、”ついで”に削除された。
posted by libertarian at 14:48| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Law | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック