2018年02月14日

東芝解体

「東芝解体」(大西著、講談社現代新書)を読んだ。
この数年で日本の電機産業がここまで落ち込んでいるとは知らなかった。
著者は、日本の電機産業、電電産業はともに社会主義的な配分システムでやってきたと指摘する。
電機産業は、NTTという半官半民の独占企業が税金的に電話料金を徴収し、それをさらに電器産業に振り分ける癒着構造があり、これが日本の電機産業の安定収入となっていた。家電産業はNTT仕様のものを作っていればそれでよかった。
電電産業は東電を頂点とする独占電力産業の下請け設備業者として安定収入をえていた。
親玉の電力会社は独占企業として税金のように莫大な電力料金を徴収してきた。
このような社会主義的配分により、安定収入を得ることができ、それがまた本業であったために、他の事業は半導体でも家電にせよ赤字でも許される傍流の副業だった。これがグローバル競争が激化することで、それを専業として必死にやっている外国の勢力に負けてしまったというものである。

家電産業は、親分のNTTがダメになることでミルク供給が減り、電電産業は311で親分の電力会社がだめになることでやはりミルク補給を受けられなくなった。その結果、この数年で日本の電機産業はぼろぼろになってしまった。

日本の電機産業、電電産業に対するマクロな見方としては、このような観点は成り立つのかもしれない。
こうしてみると、日本の家電産業、電電産業に対する経済産業省の影響力の大きさが見えてくる。経産省によるNTT、東電支配から間接的、hierarchicalに日本の全ての家電産業、電電産業はは社会主義的に支配されてきたのであろう。

しかし、これに加えて20年以上にわたるいまだに終わっていない財務省ー日銀によるデフレ政策があった。
経産省の社会主義的な産業政策に加えて、さらにマクロな要因として財務省ー日銀のデフレ政策があったといえる。
これを指摘しないのは片手落ちであろう。

日本の家電産業は東芝が解体し、シャープがつぶれ、NEC、富士通も風前の灯、日立、三菱も一時より半分以下の規模となった。ソニーもハイテク分野で国際競争力は失いつつある。パナソニックは電池頼み。
ソニーのような独立系の電機会社は方向転換を試みているが、東芝を典型とする政府との癒着のつよい大企業ほど後退が著しい。

つい最近まで日本の国際競争力の要はハイテク電機産業と思われてきたが、それがもはや総崩れの状態だ。
インターネット登場以来アメリカではGoogleだAmazonだと新しい産業が台頭してきたが日本には何もない。

ただ日本の大手家電産業は日本のエリートエンジニアの良くも悪くも受け皿だったわけだが、これらが解体することで技術者の囲い込みが弱まり、人材の再配置 reallocationがこれから大規模に起きる。
日本は経産省を廃止し、社会主義的な計画経済、産業政策をやめることが必要だ。

posted by libertarian at 10:20| 東京 ☀| et cetera | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする