2008年01月14日

Nation State and Currencies

ハイエクは、通貨発行自由化論で、通貨発行の政府独占こそが、インフレーションを招き、景気循環を引き起こす原因であると主張した。
そして通貨の発行を民間に開放することで、通貨間の自由競争を行わせることを論じた。政府という究極の独占体に裁量権を与えて通貨の管理を自由にさせることは極めて危険であり、通貨の信用を維持するのにも、競争的な市場秩序が必要だということだ。
ハイエクのアイデアは逆にNation Stateに閉じたものと言えるかもしれない。
ミルトン フリードマンのアイデアは、ハイエクとは異なるが、結局は政府の通貨発行の裁量権を制限することがその本質だろう。
問題は、Nation Stateにおける政府が究極の独占体だということだ。この問題を考える上で現在のEUとユーロが面白い。

その点で、大前研一氏の次のコラムは必読だ。
「規律のユーロ、タガ外れの円・ドル」
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/112/index.html
(無料登録が必要)

大前氏の考えを簡単にまとめると、ユーロに加入すると各国のNationStateは財政を自由にはできなくなり、強力な規律や制限が生まれる。
それに対し、日本やアメリカは、政府独占体が財政を自由にできるため、規律がなくタガが外れた状態にある。そのため、2006年度において、財政赤字のGDP比は、日本が4.3%、アメリカが3.7%、イギリスが3.0%であるのに対して、EUは平均で1.5%である。
EUでは劣等生になるイタリアですら、2.5%だ。

EUにおけるユーロとはハイエクの考えとは逆に通貨が統一されるわけだが、現在のところ、これは各国の裁量権限を抑止する効果があるということのようだ。
しかし、ハイエクの考えも結局、政府の通貨発行権限を制限することにあるわけだから、結果的には同じ目的が別の手段で実現したといえるかもしれない。

通貨とNationStateの主権は、もともと密接に結びついているが、EUという経済共同体は、国民国家の通貨発行の主権を制限することに史上初めて?成功したといえるのだろう。
この成功は拡大しつつあり、主権国家、国民国家の根幹となっている通貨主権もしくは財政主権を制限する方向に向かっているといえる。
大前氏は、今後、ユーロとドル=ダラーが、結びつき、ユーラーになり、さらには世界通貨のグローブになると予言?している。
ありえる話だ!?

要するに、問題は経済なのだ。どんな貧乏国であっても、そこに可能性があり、人々に意志とやる気があれば、それだけで、そこに莫大なマネーが市場から供給される世の中になったのだ。これは、インターネット時代だから可能になったことだ。
やはりインターネットの本質的な役割とは、20世紀までの NationState=国民国家を破壊することにあったのだと後世の歴史家は見るにちがいない。

凶悪な主権国家=国民国家の終わりは意外と近いかもしれない。市場システムとは、無制限の権力=主権を制限する唯一の仕組みなのである。

 
posted by libertarian at 12:32| 東京 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | F.A.HAYEK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ハイエクの貨幣発行自由化論は知っていたのですが、ユーロが比較的優良な通貨であるという点には気づかずにいました。タイミング見てユーロを買っておこうと思いました。

ところで、ロスバードはハイエクの主張に反対して金本位制にこだわっていたようですが、金本位制を維持するには国家の存在が不可欠であり、彼の無政府主義と整合性がとれないように思えます。通貨価値の基準は金に固定するべきではなく市場によって決定されるべきだと思います。この点についてご意見を伺いたいです。


Posted by reach at 2008年01月14日 23:49
金本位制を維持するには国家の存在が不可欠ということはないんじゃないですかね。
むしろ市場メカニズムで扱うのに適した、政府の財政権限を制限するものとして考えていたんではないかと思います。
詳しいことは、蔵さんに聞いたほうがいいかもしれません。
あちらは教えるのが本職の方なので。(^^;
Posted by kyuuri at 2008年01月15日 20:48
ありがとうございます。蔵さんにも聞いてみることにします。

政府の存在を前提とすれば、現行の制度よりは金本位制のほうが良いのでしょうけど、金というものが基準として適切なのものかという点が疑問になりました。

Posted by reach at 2008年01月16日 00:13
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